不動産売買の仲介手数料とは、不動産会社に売買を仲介してもらった際に支払う「成功報酬」で、宅地建物取引業法によって上限額が定められている費用です。
売買価格が400万円を超える場合の上限は「物件価格×3%+6万円+消費税10%」で計算できます。たとえば2,000万円の物件なら72.6万円(税込)が上限です。2024年7月の法改正で、800万円以下の物件は売主・買主それぞれから最大33万円(税込)まで受領可能になりました。ただしこれは自動適用ではなく、事前の合意が条件です。
この記事のポイント
- 上限は法律で決まる
- 400万円超は3%+6万円+税
- 800万円以下は最大33万円
- 33万円は合意が前提
- 直接買取なら0円
不動産の仲介手数料はいくら?速算式と価格別の目安
結論から言うと、売買価格が400万円を超える一般的な物件なら 「物件価格×3%+6万円+消費税10%」 で上限額が一発で出ます。2,000万円なら72.6万円、3,000万円なら105.6万円(いずれも税込)。まずは自分の物件価格をこの式に当てはめれば、支払いの上限が見えます。
400万円超は「価格×3%+6万円+消費税」で計算する
不動産の現場で最もよく使われるのが、この速算式です。計算式は (物件価格(税抜)×3%+6万円)×1.1。この「6万円」は、200万円以下の部分(5%)や200万円超〜400万円以下の部分(4%)と、3%との差額を調整するための補正値です。段階ごとに区切って計算する手間を、この一本の式が省いてくれる、というわけ。ちなみに実務ではこの式を「サンパーセントプラスロクマン」と口頭で言う担当者も多いです。
500万〜3,000万円の代表例で相場をつかむ
速算式に当てはめると、価格帯ごとの上限(税込)はこうなります。実際に自分の物件が近い金額を探してみてください。
- 500万円 → 23.1万円
- 1,000万円 → 39.6万円
- 2,000万円 → 72.6万円
- 3,000万円 → 105.6万円
見てのとおり、価格が上がるほど手数料も比例して増えます。3,000万円クラスになると100万円超。ここは資金計画に必ず織り込んでおきたい金額です。
400万円以下・800万円以下には別ルールがある
ここで注意。上の速算式が使えるのは「400万円超」の物件です。400万円以下の低価格帯、そして2024年の改正で新設された800万円以下の枠には、別の上限ルール(特例)が用意されています。では、その特例がどういうものなのか。詳しくは後半のH2で解説しますが、先に一言だけ言っておくと、「800万円以下なら最大33万円だが、無条件ではない」という点が最大のポイントです。
そもそも仲介手数料とは?成功報酬の中身と宅建業法の上限
仲介手数料は、売買契約が成立して初めて発生する「成功報酬」です。単なる事務手数料ではなく、査定・広告・調査・契約書作成・決済まで含む対価。そして請求できる金額の上限は、宅地建物取引業法(宅建業法)第46条と国土交通省告示によって厳格に決められています。
仲介手数料は契約成立で初めて発生する成功報酬
不動産会社に支払う仲介手数料は、売買契約が成立した時点で請求権が発生します。どれだけ物件を案内してもらっても、広告を何度出してもらっても、契約が不成立なら支払い義務はゼロです。ここは意外と見落とされがちなんですが、査定を受けただけ、相談しただけの段階でお金を取られることは原則ありません。逆に言えば、契約前に「着手金」や「査定料」を求められたら、その時点で一度立ち止まって確認すべきサインだと思っていい。
不動産会社が実際に担っている業務
「3%も取るのか」と感じる人もいますが、その裏側の業務量は決して軽くありません。取引を安全に成立させるため、不動産会社は多岐にわたる専門業務を担っています。
- 市場価格の査定・分析
- ポータル・チラシでの集客
- 現地案内と条件交渉
- 契約書・重要事項説明書の作成
加えて、登記簿上の権利関係、都市計画法や建築基準法などの法令制限、境界の有無といった調査もこなす。将来のトラブルを防ぐ責任を負っている、という点が報酬の根拠になっています。
上限は宅建業法の告示で3段階に決まっている
不動産会社が請求できる金額の上限は、昭和45年建設省告示第1552号で、売買金額に応じて段階的に定められています。具体的には、200万円以下の部分は5%、200万円超〜400万円以下の部分は4%、400万円超の部分は3%(いずれも税抜)。この上限を超える請求は宅建業法違反です。逆に言えば、これはあくまで「上限」であって「定額」ではない——この違いが、後で交渉の話につながってきます。
【2024年7月改正】800万円以下は最大33万円|ただし合意が条件
2024年7月1日、報酬告示が6年ぶりに改正されました。ポイントは、低廉な物件の特例が「400万円以下」から「800万円以下」へ拡大され、上限が売主・買主それぞれ最大33万円(税込)に引き上げられたこと。ただし——ここが競合記事でも曖昧にされがちなのですが、この33万円は自動では適用されません。
何が変わったのか(400万→800万、19.8万→33万)
従来の特例は、2018年に導入された「低廉な空家等の媒介の特例」で、400万円以下の物件について売主から最大19.8万円(税込)まででした。2024年7月1日からは、対象が800万円以下に拡大され、上限も30万円×1.1=33万円(税込)に引き上げられています(国土交通省「不動産業による空き家対策推進プログラム」2024年6月21日策定)。物件価格が安いほど原則の手数料は低いので、この特例による増加幅は低価格帯ほど大きくなります。
「自動で33万円」ではない — 説明と合意が必須
ここが最重要ポイント。800万円以下だからといって、問答無用で33万円が請求できるわけではありません。特例を適用するには、媒介契約の締結時に不動産会社が依頼者へ報酬額を説明し、合意を得ることが要件になっています。合意が得られなければ、上限は原則どおりの速算式に戻ります。
- 締結時に報酬額を説明
- 依頼者の合意を得る
- 媒介契約書に明記
つまり「知らないうちに33万円になっていた」は本来あってはならない話。もし事後に特例分を上乗せ請求されたら、それは手続き上おかしいと考えていいでしょう。
空き家限定ではない — 居住中・種類問わず対象
もう一つ、誤解が広がっている点を正しておきます。「低廉な空家等」という名前から空き家専用の制度だと思われがちですが、実際には使用状態は問われません。空き家だけでなく居住中の物件も、マンション・一戸建て・土地のいずれも、800万円以下であれば特例の対象になります(国土交通省の通達解釈による)。名称に引っ張られて「うちは居住中だから関係ない」と判断してしまうと、条件の確認漏れにつながるので注意が必要です。
価格別シミュレーションと早見表
ここでは具体的な金額で、仲介手数料の上限(税込)がいくらになるかを見ていきます。原則の速算式で計算した金額を基本に、800万円以下は特例(合意時最大33万円)も併記しました。自分の物件価格に近いところを探してみてください。
500万・1,000万・2,000万・3,000万円の計算例
原則の速算式(400万円超)で計算すると、次のとおりです。
- 500万円:(500万×3%+6万)×1.1=23.1万円
- 1,000万円:(1,000万×3%+6万)×1.1=39.6万円
- 2,000万円:(2,000万×3%+6万)×1.1=72.6万円
- 3,000万円:(3,000万×3%+6万)×1.1=105.6万円
なお500万円のケースは、特例(合意時)を適用すると最大33万円まで上がる可能性があります。安い物件ほど「原則より特例の方が高くなる」逆転が起きる点は、頭に入れておきたいところ。
価格帯別・仲介手数料上限の早見表
主要な売買価格に対する上限を一覧にしました。税抜・税込の両方を載せています。
| 物件価格(税抜) | 上限(税抜・原則) | 上限(税込・原則) | 特例適用時(税込・合意時) |
|---|---|---|---|
| 200万円 | 10.0万円 | 11.0万円 | 最大33万円 |
| 400万円 | 18.0万円 | 19.8万円 | 最大33万円 |
| 800万円 | 30.0万円 | 33.0万円 | 33万円(原則と同額) |
| 1,500万円 | 51.0万円 | 56.1万円 | 対象外 |
| 2,500万円 | 81.0万円 | 89.1万円 | 対象外 |
| 3,500万円 | 111.0万円 | 122.1万円 | 対象外 |
| 5,000万円 | 156.0万円 | 171.6万円 | 対象外 |
※特例欄の「最大33万円」は、媒介契約時に説明・合意があった場合の上限です。合意がなければ原則欄の金額が上限になります。
800万円前後は「原則」と「特例」どちらが効くか
面白いのが800万円ちょうどのライン。原則の速算式でも (800万×3%+6万)×1.1=33万円となり、特例上限とぴったり一致します。つまり800万円では両者に差がありません。差が出るのはそれ以下の価格帯で、たとえば300万円なら原則15.4万円に対し特例では最大33万円。売主目線では負担増、不動産会社目線では採算改善——立場によって評価が真逆になる、そんな制度だと理解しておくと腑に落ちます。
仲介手数料を支払うタイミングと注意点
仲介手数料は「いつ」「どう」払うのか。結論は、契約時に50%、引き渡し(決済)時に残り50%の2回払いが一般的です。査定や媒介契約の段階では発生しません。ここを取り違えると資金繰りでつまずくので、流れを押さえておきましょう。
契約時50%・決済時50%の2回払いが基本
宅建業法上は売買契約が成立した時点で成功報酬の請求権が発生します。ただ実務では一括ではなく、契約締結時に50%、決済・引き渡し完了時に残り50%という2回払いが定着しています。この分割は、取引が引き渡しまで無事に完了することへのお互いの担保という意味合いもある。全額前払いを求められるケースは一般的ではないので、そう言われたら理由を確認したほうがいい。
査定・媒介契約の段階では払う必要がない
不動産会社と媒介契約(売却や購入の依頼契約)を結ぶ段階、あるいは査定を受けた段階で費用が発生することは、原則ありません。先ほども触れましたが、これは重要なので改めて。もし売買契約の前に「着手金」「査定料」といった名目で請求されたら、それは通常の取引ではまず起きないこと。正直、そこで一度契約内容を見直すくらいの慎重さがあっていいと思います。
途中で解除(キャンセル)になった場合の扱い
契約後に取引が流れた場合、手数料がどうなるかはケースで分かれます。買主のローン審査が通らず「住宅ローン特約」で解除になった場合は、売買契約が白紙撤回となり、手数料の支払い義務も原則消滅。すでに払った分は全額返金されます。一方、手付放棄など当事者都合による解約では、支払いが必要になるケースがある。この点は契約書の記載次第なので、締結前に解除条項を読んでおくと安心です。
仲介手数料を抑える3つの方法
まとまった出費だからこそ、抑えられるなら抑えたい。現実的な手は3つあります。最も確実なのは不動産会社の直接買取(0円)。次に値引き交渉、そして「無料・半額」業者の活用。ただし後ろ2つには注意点もあるので、順に見ていきます。
不動産会社の直接買取を使う(手数料0円)
最も確実に手数料をゼロにできるのが、不動産会社への直接買取です。仲介手数料は「売主と買主の間に立って取引を仲介した費用」。したがって不動産会社自身が買主となって直接買い取る場合、仲介というプロセスが存在しないため手数料は0円になります。たとえば株式会社アイエー那覇支店のような自社買取専門の会社なら、仲介手数料が不要なぶん、手元に残る資金(手取り額)を最初から明確に計算できる、というメリットがあります。
値引き交渉をする際の注意点
「手数料をまけてもらえませんか」と交渉すること自体は違法ではありません。法律が定めているのは上限であって、下限は自由だからです。ただ、無理な値引きにはリスクもある。売却活動のモチベーションが下がったり、レインズ(指定流通機構)への掲載や広告展開が消極的になったり、といった副作用が起きうる。「安くなったが売れ残った」では本末転倒なので、そこは天秤にかけて判断したいところです。
「無料・半額」業者の仕組みとリスク
「仲介手数料無料」「半額」を掲げる会社もあります。カラクリは、買主側からのみ手数料を得る仕組み(いわゆる片手仲介)や、人件費・広告費を極限まで削っているケースが多いこと。仕組み自体は違法ではありません。ただ、サービス内容やサポート体制、売却スピードに差が出ないかは事前に確認すべき。この点、正直なところ会社によって実態の差が大きく、一律に「無料=お得」とは言い切れないのが実際のところです。
よくある失敗とトラブル予防策
最後に、実際に起きがちな失敗を3つ。「上限=定額」という思い込み、別途費用の請求、そして手取り額の計算漏れ。どれも事前に知っていれば避けられるものばかりです。
「上限額」を「定額・提示額」と思い込む
法律が定めているのは、あくまで「請求できる金額の上限」です。ところが「法律で決まっているから値引きできません」と説明されることがある。これは正確ではありません。上限以下であれば、不動産会社と顧客の合意で自由に決められるのが本来の姿。上限=必ず払う額、と思い込んでしまうと、交渉の余地を自ら手放すことになります。
仲介手数料以外の「別途費用」を請求される
原則として、通常の仲介業務に含まれる広告費や案内費用を、手数料とは別に請求することは宅建業法違反です。例外的に「売主からの特別な依頼による遠方への出張旅費」や「特別な有料広告」などは実費請求が認められますが、これも事前の合意・承諾が必須。頼んでもいない費用が後から乗ってきたら、その根拠を確認する権利が依頼者にはあります。
手取り額の計算漏れによる資金ショート
意外と多いのが、これ。「売買価格=手元に残るお金」と勘違いして、資金計画が狂うパターンです。実際には手数料のほかに諸費用がかかります。
- 登録免許税・抵当権抹消登記
- 司法書士報酬
- 印紙税
- 測量費・解体費など
この点は正直、査定額の大きさに気を取られると見落としやすい。だからこそ査定時に「諸費用を引いた後の手取り額シミュレーション」を出してもらうのが、いちばん確実な予防策です。
よくある質問
Q1. 仲介手数料に消費税はかかりますか?
はい、かかります。仲介手数料はサービスへの報酬なので、10%の消費税が課税されます。速算式(価格×3%+6万円)で出した金額に1.1を掛けた額が、最終的な上限です。なお土地そのものの売買は非課税ですが、仲介手数料には課税される点に注意してください。
Q2. 仲介手数料は値引き交渉できますか?
法律上は可能です。宅建業法が定めるのは「上限額」であり、下限は自由。ただし極端な値引きは、広告出稿など積極的な売却活動を弱める恐れもあるため、慎重に判断したほうがよいでしょう。
Q3. 仲介手数料が0円になるのはどんな場合ですか?
不動産会社が直接買い取る「買取」の場合、または売主側からのみ手数料を取る無料キャンペーン物件の場合です。自社買取では仲介そのものが発生しないため、手数料は一切かかりません。
Q4. 2024年7月の法改正で何が変わりましたか?
800万円以下の物件について、売主・買主それぞれから受領できる上限が最大33万円(税込)に引き上げられました。従来は400万円以下・最大19.8万円が対象でしたが、価格枠が800万円以下に拡大されています。ただし適用には媒介契約時の説明と合意が必要です。
Q5. 800万円以下なら必ず33万円になるのですか?
いいえ、自動ではありません。特例を適用するには、媒介契約締結時に不動産会社が報酬額を説明し、依頼者の合意を得ることが要件です。合意がなければ、上限は原則の速算式で計算した金額に戻ります。
Q6. 空き家でなくても特例は使えますか?
はい。名称は「低廉な空家等」ですが、使用状態は問われません。800万円以下であれば、居住中の物件も、マンション・戸建て・土地のいずれも対象になります。
Q7. 仲介手数料はいつ支払いますか?
契約時に50%、引き渡し(決済)時に残り50%を支払う2回払いが一般的です。支払いは現金または銀行振込が中心で、一部クレジットカードに対応する会社もありますが、事前確認をおすすめします。
Q8. 仲介手数料以外にどんな諸費用がかかりますか?
登録免許税、司法書士報酬、印紙税、測量費、建物解体費などがあります。査定時に「諸費用一覧・手取り額シミュレーション」を出してもらうと、資金計画を立てやすくなります。
まとめ|後悔しないためのチェックリスト
不動産売買の仲介手数料は、人生でも大きな支出のひとつ。最後に要点をおさらいします。速算式で上限を把握し、2024年改正の「33万円は合意が前提」という条件を押さえ、手取り額まで含めて判断すれば、後悔のない取引に近づけます。
- 400万円超は「3%+6万円+税」
- 800万円以下は最大33万円
- ただし33万円は合意が条件
- 支払いは契約時50%・決済時50%
- 直接買取なら手数料0円
特に、2024年改正の特例は「自動適用ではない」という一点だけでも覚えておくと、いざ媒介契約を結ぶときに説明の中身を正しくチェックできます。数字だけでなく、諸費用を引いた手取り額で比較する——この視点を持てば、仲介と買取のどちらが自分に合うかも見えてくるはずです。
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参考・出典
- 国土交通省「不動産業による空き家対策推進プログラム」2024年6月21日策定:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk3_000001_00066.html
- 総務省「令和5年住宅・土地統計調査」:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/tyousake.html
- 制度解説(改正内容の裏取りに使用):https://staylinx.jp/contents/1124 、https://kuramore.jp/article/966/ 、https://biz.homes.jp/column/topics-00146



